美しい景観に豊かな歴史、素晴らしい芸術家や音楽家を生み出してきた、オーストリア。

少しだけドレスアップして、本場のオペラに触れてみたい。ユネスコ無形文化遺産に登録されているクラシカルなカフェ文化の中で、うっとりするような時を過ごしてみたい。モーツァルトやベートーヴェンなど、憧れの音楽家の足跡を辿ってみたい……。

ヨーロッパには素敵な国がたくさんありますが、その中でもオーストリアは特に、きらびやかな期待で旅人の胸をいっぱいにしてくれる国。
特に、首都ウィーンは、芸術を好む人にとって聖地のような場所です。

今回は、妹とともに旅をしました。

「絶対に行きたい」「できれば行きたい」「お土産はここで」――。

オーストリアへ向かう飛行機の中。
青、緑、黄色の付箋で色分けされたガイドブックと、A4用紙に思いつくまま書いた「二人のやりたいことリスト」の間でひたすら目線を行ったり来たり。
そうこうしているうちに、およそ21時間におよぶフライトはまたたく間に終了しました。

ウィーンへ到着後も、膨れ上がった期待は決して裏切られることはありませんでした。

100色入りの色えんぴつボックスから、「本当にきれいだ」と思う色だけを選んで描いたような世界。
規則正しく装飾された窓や柱の数々……。

整然とした街のようすから、ウィーンという街はとても礼儀正しくて、格式が高くて、芸術に対する感度の高い場所だということがうかがえました。

ちなみに、ウィーン(Wien)はドイツ語の発音です。
英語表記は「ヴィエナ(Vienna)」。なんだか魅惑的な響き。

今回、そんなウィーンの街を初めて旅して驚いたこと、うれしかったことがたくさんありました。
順に、ご紹介していきます。



街全体がとてもクリーン


「生まれ育ったエジプトもきれいだけど、ウィーンの街は本当に美しいよ」

空港から利用したトランスファータクシーの運転手さんは、エジプトご出身だそう。
オーストリア内の大学に進学したことがきっかけで、この国の美しさに惚れ込み、移住を決意したのだとか。

美しい景観に加えて、ウィーンはとても清掃が行き届いています。
ヨーロッパの街でよくあるのが、建物はきれいなのに足元にはゴミ、割れたビン、タバコの吸い殻など、地面が悲惨な状態であること。

……上を向いて歩こう。

しかし、ウィーンではそのようなことはありません。
早朝、清掃員さんが街をお掃除している様子も目撃しました。

お掃除に関しては他の国でも見られることですが、個人的にとても驚いたのが、清掃員さんが布を使ってゴミ箱を磨き上げていたことです。ピカピカのゴミ箱!

写真右下に写っているのが、ピカピカゴミ箱

きれいなゴミ箱も素敵ですが、その作業をきちんとこなす清掃員さんの姿勢にも感服しました。
住んでいる人みんなが、この街を誇りに思っているのですね。

そのほか、美術館や博物館、オペラハウスにレストランやカフェなど、いろんな場所に行きましたが、総じてお手洗いも清潔!

もちろん、日本の最新ショッピングモールや、デパートの清潔さには敵わない点もありますが、ウィーン滞在中に、トイレに対して不快感を感じたことは一度もありません。

そして、お手洗いには99.9%、ペーパータオルが常備されています!

ハンカチがボトボトにならないので、これは旅行者にとってありがたかった。
ペーパータオルがない場合は、ジェットタオルがあります(日本も早く稼働させておくれ)。

もちろん、石鹸も常備されていましたし、場所によっては消毒用のアルコールもありました。
ひょっとしたらコロナの影響かもしれませんね。

親切かつ陽気な人が多い


「やぁ! ファーストスタンプだね」

入国審査時、私のパスポートを見たブルース・ウィリス似の審査官さんが話しかけてくれました。

そうそう、結婚で苗字が変わり、パスポートを再度発行していました。新しいパスポートを使っての海外渡航は今回が初めてでした。

入国審査の際「渡航の目的は?」「滞在先は?」「どれくらい滞在するの?」といった入国に関する内容を確認されることはよくありますが、このような形で話をふられるのは初めて。
少し驚いている私に構わず、入国審査官さんは「オーストリアが1か国め!」となんだかうれしそう。

――ダン、ダン、ダン!

“記念すべきスタンプ”の印字がきちんと出るようしっかりとインクをつけた審査官さん。滲まないよう、そっと静かに、ていねいに押印してくれる姿に、ちょっぴりうれしくなる私。今回の旅は、きっといいものになりそうだと思っていると、審査官さんはふっと顔をあげ「日本人って『ジャパン』のことを『ジャパ〜ン』って言うよね」と満面の笑み。私、思わず爆笑。

こうしてまったく入国に関係ない話をしながら、審査をパスしました。

「郷ひろみの影響です」
通じないだろうなと思い、伝えることができなかったのが、この旅の心残りのひとつです(小声)。

ちなみに、オーストリアの公用語はドイツ語です。

地下鉄では、駅名を記載した看板や、電車内のアナウンスもドイツ語。
観光客がよく訪れるようなレストランでも、英語メニューがなく、ドイツ語オンリーのところもありました。

各国からの観光客が多いのにも関わらず、日本よりも英語併記が進んでいないのは意外でした。
しかし、意外にも困ることはあまりありません。

なぜなら、オーストリアの人は総じて親切だから!

お店でメニューに困ったら、ウエイターさんに相談すれば料理の解説をしてくれます。
電車の乗り方がわからなければ、道ゆく人に尋ねれば答えを教えてくれます。

英語表記がなくても絶えず観光客を呼び込むことができるのは、オーストラリアの豊かな文化と、地元の人のボランティア精神の賜物だと推測します。

英語(と、ボディランゲージ)は本当によく通じます。
そのため、オーストリアに行って新たに習得したドイツ語は「Suppen(=スープ)」のみとなりました。笑

写真はクリームが絞られたココア。
お店の人と仲良くなったら、なんとサービスしてもらっちゃいました。
ホスピタリティとして、モノをいただいたのは初めてかも。

治安がいい


私が初めて旅したヨーロッパの国は、フランスです。
そのため、私の治安基準は、当時のフランスの記憶に基づいています。

今でこそ、改善傾向にあるようですが、2013年当時のフランスは、ちょびっと治安がよろしくなくて。

私自身も、結果として何もとられなかったけれど、スリにあいかけたり、謎の宗教団体から強引な勧誘を受けたり、見るからにチープなミサンガを、高額で売りつけられそうになったり……。

あと、こちらの落ち度で無銭乗車の嫌疑にもかけられました。泣
〉詳しくはフランスで体験したちょっといい話

ウィーンは夜の街並みも美しい

そのときは、添乗員さんのガイドつきの団体ツアーに申し込んでいました。

添乗員さんに言われていたのが「夜道は一人で歩くな」「荷物から決して目を離すな」「携帯は写真を撮るたびにしまえ」……。

ほかにもいろいろとありますが、これらの教えはヨーロッパを旅する上での教典として、私の思想・行動に強く刻み込まれていました。

そう、ウィーンを訪れるまでは……。

ウィーンの驚き①
暗い夜道を、一人で悠々と歩く地元の女の子を多数目撃。推定、ティーンエイジャー(しかもキャミソールにホットパンツと、かなり攻めた格好)

ウィーンの驚き
お手洗いに行く際、席にカバンを置いたまま立ち去る人もたくさん(残された私たちがハラハラする。同時に『見守っておかなくちゃ!』と、頼まれてもいないのに責任感を感じる)

ウィーンの驚き
スマートフォンはおろか、MacBook Airを机の上に置いたまま仲間との談笑を楽しむ人も一定数存在(@テラス席)

……な、なんたる治安のよさ!!

ウィーンという街の格式の高さがそうさせるのか、遅くまで空いているようなバーやレストランでも、騒ぎ立てているような人は見受けられず、みなさん落ち着いて食事やお酒を楽しんでいました。




ただ、やはりスリや置き引きなどの軽犯罪はあるようですし、地区によっても治安は変わってくるようなので、”日本と同じ”という意識は持たないほうが得策です。

最低限気をつけておけば、ウィーンはたくさんの思い出と、人のあたたかさを与えてくれる素敵な街でした。

引き続き、ウィーンで食べて美味しかったもの、美しかった景色や、その後訪れたチェコについても綴ってきます。

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